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固定残業代の上限は?45時間?リスクを解説

お役立ち情報
監修者
竹村 直浩
竹村 直浩

<経営管理のプロ・数多の組織経営>
会計事務所経験からキャリアをスタート。
約30年間にわたりデータベースマーケティング、起業のみらずBPO業務および新規事業の立案に従事。
現在は、自らが代表を務める会社の経営の傍ら、経営管理および新規事業立案等の業務委託を請け負う

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求人票や雇用契約書でよく見かける「固定残業代制度」。月給に一定時間分の残業代をあらかじめ含めて支払うこの制度ですが、「45時間までなら大丈夫」といった誤解も広がっています。固定残業代に法的な上限はあるのか、また制度を導入・運用する際にどんなリスクがあるのかを理解することは、企業にとって非常に重要です。本記事では、固定残業代の基本と、45時間の意味、導入時の注意点とリスクを詳しく解説します。

固定残業代とは?

制度の概要

固定残業代とは、従業員に支払う月給の中に、あらかじめ一定時間分の残業代を含めて支払う制度のことです。残業の有無に関わらず定額の支払いを行うため、給与計算の簡略化や人件費の予測がしやすいという特徴があります。

項目内容
制度名固定残業代制度(みなし残業とも呼ばれる)
支払方法月給に残業代(例:20時間分)を含んで支払う
目的給与計算の簡素化、人件費の予測、募集時の給与の見た目向上など
法的根拠労働基準法に基づき、明確なルールに沿って導入すれば適法

固定残業代の「45時間」の意味とは?

観点内容
45時間の根拠労働基準法第36条において、原則として月45時間までの残業が「限度時間」とされている
法的な上限ではない固定残業代に「45時間までしか設定できない」という明文化は存在しない
慣習的な目安社会的・法的リスクを避けるため、多くの企業が45時間以内で設定している
労使協定と必要条件月45時間を超える設定をする場合、36協定や特別条項の整備が必須

固定残業代を導入する際の注意点

注意点解説
明細な内訳の明示基本給と固定残業代を明確に分けて記載しなければならない
時間数の明確化「月◯時間分の残業代を含む」と明示しなければ違法となるリスクがある
実残業との比較実際の残業が固定時間を超えた場合、その超過分は別途支払う必要がある
明細の記録と説明責任労働時間の記録を正確に保管し、説明できる体制を整えておく必要がある

固定残業代に関する主なリスク

リスク項目内容
未払い残業代の請求リスク固定分以上の残業が常態化している場合、未払い分を請求される可能性がある
無効と判断されるケース契約書に記載が不十分だったり、実際の制度運用が伴っていない場合、固定残業代が無効になる場合がある
労使トラブルの増加労働者との間で「搾取的」と感じられた場合、訴訟や離職などの問題に発展する可能性がある
社会的信用の低下不適切な運用が明るみに出れば、企業イメージや採用活動にも大きな影響を及ぼす

適切な制度設計と運用のポイント

対応項目内容
雇用契約書の明記固定残業代の時間数、金額、超過時の支払い方法を具体的に記載する
勤怠管理の徹底実労働時間を正確に把握し、法定時間外労働が発生していないかをチェックする
社内ルールの整備労務トラブルを未然に防ぐため、固定残業制度に関する社内マニュアルを用意する
定期的な見直し実態と制度が乖離していないかを定期的に確認し、必要に応じて契約内容を見直す

まとめ

固定残業代は、企業にとっても従業員にとっても合理的な制度となり得ますが、運用を誤れば大きな法的リスクを伴う制度でもあります。「45時間までなら安心」といった誤解は禁物であり、あくまで正しいルール設定と運用が求められます。契約書の記載や勤怠管理をしっかりと行い、トラブルを未然に防ぐ体制づくりを進めていきましょう。