「生産性を上げよう」と言われても、何をどう改善すればいいのか分からない——そんな悩みを抱える現場は少なくありません。そこで注目されているのが「人時生産性」です。これは、1人が1時間あたりにどれだけの成果を出しているかを示す指標で、業務の効率性や組織の稼働状況を可視化するうえで非常に有効です。本記事では、人時生産性の意味や計算方法、改善のための具体的なポイントをわかりやすく解説します。
人時生産性とは?
1人1時間あたりの成果を表す「効率指標」
人時生産性とは、従業員1人が1時間働くことで生み出す成果(売上や付加価値)を数値化したものです。「人」×「時間」に対する生産量を測ることで、業務の効率や組織の生産力を把握する基準となります。
項目 | 内容 |
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定義 | 1人が1時間でどれだけの成果(売上や付加価値)を上げているかを示す指標 |
英語表記 | Productivity per Person-Hour(人時あたりの生産性) |
主な活用場面 | 経営戦略の立案、人員配置の最適化、業務改善施策の評価、働き方改革の推進など |
人時生産性の計算方法
計算式 | 解説 |
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人時生産性 = 売上(または付加価値) ÷ 労働時間 | 分母が「人」×「時間」の合計。分子には、売上や粗利益など、目的に応じた数値を使う |
例
- 売上100万円、人員5人、各自1日8時間、20日勤務
→ 労働時間合計:5人 × 8時間 × 20日 = 800時間
→ 人時生産性:100万円 ÷ 800時間 = 1,250円/時間
人時生産性を高めるメリット
メリット項目 | 解説 |
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組織全体の効率向上 | 業務のムダやボトルネックを把握し、改善につなげやすくなる |
適正な人員配置ができる | 業務量と人員のバランスを見直すことで、過不足のない配置が可能になる |
働き方改革の促進ができる | 単純な長時間労働ではなく、成果を重視した生産性向上が実現できる |
評価制度に反映しやすい | 客観的な数値に基づいて個人やチームの評価基準を設けることで、公平性が保たれる |
収益性の向上 | 少ない人員でより多くの成果を上げられるようになることで、利益率が改善する |
人時生産性を向上させるためのポイント
ポイント項目 | 解説 |
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業務の見える化を行う | 作業時間や内容を可視化することで、非効率なプロセスや時間の使い方が明らかになる |
ツールの活用で効率化を図る | タスク管理・勤怠管理・コミュニケーションツールなどを導入し、無駄な手間を減らす |
スキルアップの支援をする | 個々のスキル向上が、生産性の底上げにつながるため、教育や研修を積極的に行う |
適切な人員配置を見直す | 負荷が偏っていないか、スキルと業務がマッチしているかを定期的に確認する |
評価制度と連動させる | 生産性の高い行動や成果に報酬や評価を与えることで、モチベーションと行動改善が促進される |
注意すべき点
注意点項目 | 解説 |
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数値だけを追いすぎない | 人時生産性が高くても、品質や従業員満足度が低下していれば逆効果になる可能性がある |
業務の質を考慮する | 定量的な成果だけでなく、顧客満足やチーム貢献といった定性的要素も重要視することが必要 |
長時間労働での達成は避ける | 労働時間を延ばして数値を上げるのではなく、時間あたりの生産性を本質的に高めることが重要 |
まとめ
人時生産性は、働き方改革や業務改善を進めるうえで非常に有効な指標です。1人1時間あたりの成果に注目することで、業務の見直しや組織の最適化が可能になります。ただし、数値ばかりに目を向けるのではなく、働きやすさや業務の質とのバランスを保つことも忘れてはなりません。正しく測定し、改善サイクルをまわすことで、持続可能な高生産性の組織づくりを目指しましょう。