企業の経営目標や人事制度において、近年注目されているのが「MBB(Management by Belief)」という考え方です。従来の「MBO(Management by Objectives)」と混同されやすいこの手法ですが、その根底にある価値観やマネジメントのスタンスは大きく異なります。この記事では、MBBの基本的な意味、MBOとの違い、導入するメリットや注意点について分かりやすく解説します。
MBBとは?
基本の定義
MBBとは、「信念に基づく経営(Management by Belief)」を意味し、企業の理念や価値観をベースにマネジメントを行う手法です。数字目標だけでなく、社員一人ひとりの共感や信頼を重視した経営スタイルが特徴です。
項目 | 内容 |
---|---|
意味 | 企業理念やビジョンに基づいて行動を促す経営 |
重視するもの | 共感、信頼、価値観の共有 |
主な対象 | 組織全体の文化づくりやエンゲージメントの強化 |
MBOとは?
基本の定義
MBO(Management by Objectives)は、個人や部門に明確な目標を設定し、その達成度に応じて評価や報酬を決定するマネジメント手法です。短期成果や効率性を重視する点で、MBBとはアプローチが異なります。
項目 | 内容 |
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意味 | 目標による管理。定量的な成果で評価する制度 |
重視するもの | 目標設定、成果、評価指標 |
主な対象 | 個人目標、部署KPI、人事評価制度など |
MBBとMBOの違い
項目 | MBB | MBO |
---|---|---|
中心となる考え方 | 価値観・信念に基づくマネジメント | 数値・目標に基づくマネジメント |
目標設定の軸 | 組織の理念と共感の深さ | 達成すべき目標と具体的成果 |
評価対象 | 行動姿勢・理念への一致度 | 数値達成率・業務成果 |
効果 | 組織文化の醸成・帰属意識の向上 | 効率性・生産性の向上 |
活用場面 | ビジョン共有や組織づくり | 人事評価や報酬制度の運用 |
MBBは「どうあるべきか」を示し、MBOは「何をどれだけやるか」を明確にするという違いがあります。
MBBを導入するメリット
メリット | 内容 |
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組織の一体感が生まれる | 経営理念の共有により、方向性が統一される |
自発的な行動が促進される | 共感が動機となるため、自律的な働き方につながる |
長期的視点での成長が期待できる | 単なる成果ではなく、企業文化の醸成を重視できる |
離職率の低下につながる | 共通価値観に基づく環境が社員の帰属意識を強化する |
MBB導入時の注意点
注意点 | 解説 |
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理念の明文化が必要 | 価値観が不明確だと共感が得られず形骸化する可能性がある |
押し付けにならない運用 | 経営層のトップダウンではなく、双方向の対話が重要 |
評価基準の難しさ | 信念や姿勢の評価は主観が入りやすいため、運用ルールが必要 |
MBOとのバランスも必要 | 信念だけでなく、成果との整合性を図ることが求められる |
MBBとMBOを組み合わせた活用例
近年では、MBBとMBOを組み合わせる「ハイブリッド型」の人事評価制度を導入する企業も増えています。
活用例 | 内容 |
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MBBで価値観を浸透 | 理念への共感度や行動姿勢を重視した評価を設ける |
MBOで成果を管理 | 数値目標やプロジェクトの進捗を基に評価する |
組織文化と生産性の両立 | 意識改革と結果のバランスが取れた運用を実現 |
まとめ
MBBは、企業理念に基づいたマネジメントを行うことで、組織の一体感や自発性を高める新しいアプローチです。MBOとの違いを理解し、目的に応じて適切に使い分けることで、成果と文化の両面から組織の成長を支えることが可能になります。理念経営を目指す企業にとって、MBBは今後ますます重要なキーワードとなるでしょう。