「はぐくみ基金って怪しいの?」と感じている方へ。本記事では、制度の仕組みや法律的根拠、他制度との比較をもとに、疑念を解消する正しい情報を提供します。納得して導入・利用するためのポイントも詳しく解説します。
はぐくみ基金とは何か?制度の概要をわかりやすく解説
はぐくみ基金は、2018年に厚生労働大臣の認可を受けて開始された「選択制確定給付企業年金」制度です。医療・保育・介護など人材確保が課題となる業界を中心に注目されており、退職金制度を整える方法として導入が進んでいます。
この制度は、従業員の給与の一部を前払い退職金として積み立てる方式を採用しており、従業員が自ら拠出額を設定できます。掛金は年に2回変更可能で、運用は信託管理された大手保険会社が担い、元本保証が前提となっているため投資リスクはありません。
以下は、導入の基本情報を整理した一覧です。
項目 | 内容 |
---|---|
制度名 | はぐくみ基金 |
設立認可 | 厚生労働大臣(2018年) |
対象業種 | 医療・福祉・保育業界など |
資産運用 | 保険会社による信託元本保証型 |
掛金 | 1,000円単位、年2回変更可 |
受給タイミング | 退職・育児休業・介護離職時など |
はぐくみ基金は本当に怪しい?その不安の正体とは
一部では「給与が削られる」「制度が複雑でよくわからない」という声が聞かれますが、それらの多くは情報不足や制度理解の不足による誤解です。
実際には、厚労省認可のもとで適切に運用されており、不正や詐欺的な要素は一切見当たりません。掛金は課税所得から除外され、社会保険料の軽減効果もあるなど、むしろ法的に優遇されている制度です。
特に、導入した企業での従業員の変化を見ると、メリットが明確になります。
導入前 | 導入後 |
---|---|
退職金制度が存在しない | 積立型退職金制度として制度整備 |
掛金なし・税優遇なし | 節税メリットを享受できる |
将来不安あり | 退職後の備えとして安心感が増す |
給与が手取りのみ | 給与の一部が資産形成に回る |
はぐくみ基金のメリットを理解しよう
はぐくみ基金を導入することで、企業は福利厚生の向上を図り、従業員は将来への備えを手に入れることができます。最大の利点は、掛金が税金および社会保険料の計算から除外される点です。
月収30万円の従業員が2万円を拠出する場合、年収ベースで17万円程度の節税効果が生まれるケースもあります。また、退職・育児・介護などでキャリアを中断する際にも、積立金を受け取れる柔軟性が備わっています。
さらに企業側としては、法定福利費の軽減により経費を抑えつつ、人材確保や離職防止にも貢献できるという実績があります。現場からの導入希望も多く、企業にとっても「採用の武器」として活用されています。
注意が必要なデメリットとその対策
メリットが大きい一方で、注意が必要なポイントも存在します。最大のリスクは、給与控除によって標準報酬月額が下がり、将来の社会保障給付額が減少する可能性がある点です。
この影響は軽微なものですが、年金・健康保険・雇用保険などの計算に関わるため、事前にしっかりと把握しておく必要があります。また、制度導入後は柔軟に変更ができないため、長期的な運用方針を明確にしてから導入することが重要です。
加えて、社員への説明不足が誤解を生む原因となります。導入時は説明会・社内パンフレットの配布などを通じ、制度理解を深める必要があります。
リスク | 対応策 |
---|---|
給付額の減少 | 給与設計と報酬バランスの調整 |
制度の変更が難しい | 導入前に10年単位の事業計画と連動させる |
従業員の不信感 | 勉強会や個別相談を実施することで解消 |
他制度との比較ではぐくみ基金の優位性を知る
退職金制度にはいくつかの選択肢があり、代表的なものにiDeCoや企業型DC(確定拠出年金)があります。では、はぐくみ基金はそれらとどう違うのでしょうか。
項目 | はぐくみ基金 | iDeCo | 企業型DC |
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元本保証 | あり(保険会社による) | 一部あり | なし(投資リスクあり) |
受給タイミング | 退職・休職・離職時 | 原則60歳以降 | 原則60歳以降 |
節税効果 | 所得控除・社保軽減 | 所得控除 | 所得控除 |
企業の関与 | あり(制度設計) | なし(個人型) | あり(拠出・管理) |
従業員の操作負担 | ほぼなし | 高め | 中程度 |
このように、はぐくみ基金は元本保証・受給柔軟性・手間の少なさという面で、他制度と比較してもバランスが取れた制度であることがわかります。
なぜ今、はぐくみ基金が選ばれるのか?
最近は、企業の福利厚生を重視する求職者が増えており、はぐくみ基金のような制度を整えていることが採用活動においてもプラスになります。実際に制度導入をPRすることで、求人応募数が増加した事例もあります。
また、長期雇用を前提としない若年層にとっても、「転職しても受け取れる退職金」という考え方は魅力的です。これまでの「終身雇用」前提の制度とは異なり、ライフスタイルの多様化にも対応しています。
まとめ
はぐくみ基金に怪しい点はなく、法的根拠と社会的評価を備えた制度です。「怪しい」と感じるのは、情報が正しく伝わっていないためであり、その理解を深めることこそが誤解の解消につながります。
これからの企業運営においては、「制度を整えていること」が信頼を生み、持続可能な組織づくりの要となります。従業員の将来を守るため、企業として何を備えるべきか。その答えの一つが、はぐくみ基金といえるでしょう。