補助金について

補助金

▽補助金がもらえるタイミング

補助金は、事業を完了し、実績報告書を提出した後、内容の検査と確定手続きを経て振り込まれる「後払い(精算払い)」が原則です。

そのため、申請から採択(審査通過)を経て、実際に補助金が振り込まれるまでには、おおよそ7ヶ月〜18ヶ月程度の期間を要します。

申請が採択されたとしても、「すぐに振り込まれるものではない」という点を理解し、初期費用や運転資金は自前で用意しておく必要があります。最初に全額を負担した後に、補助率に応じた金額が支給されるイメージです。

事業の規模や期間に応じて入金までの目安期間は異なります。(※下記期間は目安であり、公募回や審査の状況によって変動します)

  • IT導入補助金(小規模な枠):7ヶ月程度
  • ものづくり補助金:16ヶ月程度
  • 新事業進出補助金(後継枠):18ヶ月程度
  • 小規模事業者持続化補助金:14ヶ月程度

■補助金の大まかな全体イメージ

  1. 公募申請(事業計画書などを提出)
  2. 採択結果発表(審査通過)
  3. 交付申請(交付決定のための手続き)
  4. 交付決定(補助事業の正式な開始許可)
  5. 補助事業開始・実施(発注・導入・支払い・証憑類の保管)
  6. 実績報告・検査(事業完了後の報告書提出と検査)
  7. 補助金確定・獲得!(確定額が精算払いとして振り込まれる)
  8. 事業化状況報告(3~5年間、事業の進捗を報告)

▽PC・タブレット購入に使える補助金はあるか?

【極めて高いリスクがあるため、原則として推奨しません】

PC・タブレット・スマートフォンは、補助金の世界では汎用性が高すぎる機器と見なされます。この汎用性の高さこそが、目的外使用のリスクに直結します。

補助金で購入した機器は、補助事業の目的のみに利用することが義務付けられています。しかし、PCは日常的な業務(メールチェック、Web閲覧、私的な利用など)にも使用できてしまうため、以下のリスクを回避できません。

  1. 証明の難しさ: 補助事業期間中はもちろん、事業化状況報告期間(3~5年間)を通じて、一切の目的外使用がないことを完全に証明するのは極めて困難です。
  2. 補助金の返還: 万が一、目的外使用が発覚した場合、補助金の全額または一部の返還命令が下されます。高額なPCであればあるほど、そのリスクは大きくなります。

IT導入補助金の例外規定について

IT導入補助金には、導入するITツールと一体となって使用される場合に、PCなどのハードウェア費用が認められる枠が存在します。しかし、これは「ITツールを使うために必須であること」が前提であり、PC本体が欲しいという動機で申請するのは非常に危険です。

結論として、資金計画を立てる際は、PC本体の購入費用は自社資金や融資でまかなうことを強く推奨します。

▽「補助金をもらいたい」と思ったら

まず、「何のために資金が必要なのか?」という事業の目的を明確にすることが最優先です。

補助金は、単なる資金提供ではなく、「設備投資」「ITツールの導入による生産性向上」「新規顧客獲得・販路拡大」といった国が掲げる特定の政策目的を達成するための手段です。

そのため、目的に合わない内容で申請しても、採択される可能性は限りなく低くなります。

「使用したい目的」を先に決め、それに合う補助金を活用するというイメージで進めることが、補助金獲得への最短ルートです。

■使用目的の参考例

  • ITツールを導入したい
  • 販路拡大・新規顧客開拓
  • 革新的な新製品・サービスを開発したい
  • 生産性向上につながる設備投資を行いたい
  • 新しい分野への事業転換・新事業の立ち上げ(事業再構築)
  • 従業員の賃金を引き上げたい(※助成金も視野に入れる)
  • IoTやロボットを導入し、人手不足を解消したい
  • 事業承継・M&Aを行いたい
  • 残業時間の削減など、働き方改革を推進したい(※主に助成金の対象)

▽主要な補助金でもらえる金額一覧

補助金の金額は、申請する枠(カテゴリ)や企業の規模補助率によって大きく異なります。特に「最高額」は、賃上げや特定の特例枠(インボイス対応など)、複数の費用項目(M&A枠など)を組み合わせた場合の理論上の最大値です。

補助金名補助率(目安)標準的な上限金額特例・加点を含む最高額(目安)主な対象・備考
新事業進出補助金(後継枠)1/2〜2/31,500万円9,000万円新規事業への進出、事業転換など大規模な挑戦
ものづくり補助金1/2〜2/3750万円4,000万円新製品・サービス開発、生産プロセス改善の設備投資
IT導入補助金1/2〜4/5450万円450万円ITツール導入、インボイス対応、セキュリティ対策
小規模事業者持続化補助金2/3〜3/450万円250万円販路開拓、業務効率化(広告宣伝費やHP作成など)
事業承継・引継ぎ補助金1/3〜2/3600万円2,000万円事業承継・M&A関連費用、専門家への報酬
省力化投資支援補助金1/2〜2/3100万円1億円省力化に資するオーダーメイド設備の導入
  • 注1: 「標準的な上限金額」は、最も一般的な枠(通常枠など)における補助上限額です。
  • 注2: 「最高額」は、特定の要件(賃上げ、デジタル枠、M&A関連費用など)を満たした場合の最大値であり、すべての申請者が受け取れる金額ではありません。

▽補助金申請は、自社でやるか依頼するか

補助金申請は、事業計画の策定や必要書類の準備に大きな工数がかかるため、自社で対応するか、専門家(認定支援機関など)に依頼するかは重要な判断です。

書類作成が得意ではなく、高確率で補助金を獲得したいなら専門家に頼む方が賢明な選択肢となります。

項目一般的な採択率(目安)専門家(実績ベース)の採択率(目安)
採択率30~50%70~90%
  • ※一般の採択率は、採択数/公募数がベースとなります。
  • ※専門家の採択率は、専門家が過去に支援した実績に基づく成功率であり、採択を保証するものではありません。

本業がある中での対応となると、事業計画の策定に十分な時間を割けないこともあります。専門家は工数の削減だけでなく、補助金審査のツボを押さえた説得力のある事業計画の作成をサポートしてくれます。

▽加点項目は必要か?

結論、加点項目は、できるものはすべて取ったほうが良いです。

補助金の審査は、加点項目を除いた事業の評価点数が同点になった場合、加点項目が多い申請が優先的に採択される傾向にあるためです。

特に競争率の高い補助金では、僅かな加点の差が採択の可否を分けることが多々あります。加点要件を満たすことで、申請の確実性を高めることができます。

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