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個人事業主が活用すべき小規模事業者持続化補助金のポイントについて解説

補助金
監修者
竹村 直浩
竹村 直浩

<経営管理のプロ・数多の組織経営>
会計事務所経験からキャリアをスタート。
約30年間にわたりデータベースマーケティング、起業のみらずBPO業務および新規事業の立案に従事。
現在は、自らが代表を務める会社の経営の傍ら、経営管理および新規事業立案等の業務委託を請け負う

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販路拡大や業務効率化を支援する「小規模事業者持続化補助金」は、個人事業主にとって重要な経営支援策のひとつです。本記事では、補助金の概要から申請条件、採択されるための具体的なポイントまでをわかりやすく解説し、制度を最大限に活用するための道筋を示します。

小規模事業者持続化補助金とは

小規模事業者持続化補助金は、中小企業庁が推進する補助金制度で、販路開拓や業務効率化に取り組む小規模事業者に対して、その実施にかかる経費の一部を国が補助する仕組みです。補助の対象となる経費には、広告費や展示会出展費、設備導入費、ウェブ制作費などが含まれており、経営基盤の強化を目指す事業主にとっては非常に有効な支援策といえます。

制度の特徴は、申請にあたって商工会または商工会議所の支援を受け、具体的な事業計画を策定する必要がある点です。これにより、計画性を持った成長戦略の構築と見直しが促されるため、単なる資金支援にとどまらず、経営力そのものの向上にも寄与します。

また、近年ではインボイス制度への対応やデジタル化推進、事業再構築などを目的とした特別枠も登場しており、より多様な支援ニーズに対応しています。たとえば、「インボイス枠」では、制度対応にかかる費用に対して100万円までの補助が適用されることがあります。このように、補助金の対象は時代に合わせて柔軟に進化している点も注目すべきポイントです。


個人事業主が対象になる条件

この制度を活用できるのは「小規模事業者」に該当する者であり、個人事業主もその対象に含まれます。ただし、事業規模には一定の要件があります。たとえば、サービス業・小売業は常時使用する従業員が5名以下、製造業や建設業などは20名以下が条件です。ここでの「従業員数」には、パート・アルバイトを含むケースもあるため注意が必要です。

さらに、税務署への開業届提出が済んでおり、確定申告を行っているなど、事業実態が明確に確認できる状態である必要があります。帳簿の整備や領収書の管理など、日常の経理業務が適切に行われていることも信頼性の判断材料となります。よって、普段からの事業管理が申請の成功を左右するといっても過言ではありません。

なお、政治・宗教活動、ギャンブル関連、暴力団関係者が関与する事業などは申請対象外とされています。また、過去に補助金を不正利用していた場合や、不正確な書類提出歴がある場合も、今後の申請に悪影響を及ぼす可能性があるため、注意が必要です。


補助対象経費と補助金の金額

補助対象経費には、以下のようなさまざまなカテゴリが含まれています。これにより、多様な業種の個人事業主が活用しやすくなっています。

経費項目内容例
広告宣伝費折込チラシ、ポスター、リスティング広告など
販促品費店頭配布用ノベルティ、試供品など
ウェブ関連費ホームページ制作、ネットショップ開設、予約システム導入など
展示会出展費出展費用、装飾費、パンフレット印刷など
設備導入費業務用冷蔵庫や製造機器など、業務遂行に直接関わる設備
外注費デザイン、翻訳、システム開発などの委託費
研修費従業員の能力向上のための外部研修参加費

通常枠では補助上限が50万円まで、補助率は3分の2が原則です。たとえば75万円の経費に対し、50万円の補助が支給されるイメージです。また、特別枠の適用によって、条件を満たせば100万円や200万円までの上限引き上げが可能となるケースもあります。

なお、補助金は後払い制であり、まずは自己資金によって全額を支出したのち、領収書や証拠書類を添えて実績報告を行うことで、後日振込される流れです。そのため、キャッシュフローの計画が非常に重要です。


活用後のフォローと実績の重要性

補助金の活用は単発的な資金支援ではなく、中長期的な事業戦略の一環として設計されるべきです。実際、補助金によって事業がどう変化したかを明確に記録・報告することが、次回以降の申請時の評価にもつながります。

たとえば、ECサイトの開設によって新規顧客が何人増えたのか、導入した機器により業務効率がどれだけ改善したのかなど、数値やグラフを用いた実績報告があると、信頼性が高まります。さらに、補助金を活用して得た成功体験をベースに、次なる投資計画や販売戦略を立てることで、事業の持続性も向上します。

商工会や支援機関との継続的な連携も忘れてはなりません。彼らは制度に精通しているだけでなく、地域性を理解した的確なアドバイスが可能です。定期的な経営相談を活用すれば、販路開拓以外にも人材育成や事業継承などの課題にも対応しやすくなるでしょう。


まとめ

小規模事業者持続化補助金は、ただの経費補填にとどまらず、事業の革新や新たな挑戦を後押しする制度です。制度の枠組みを正しく理解し、自社の現状や将来像に合わせて戦略的に活用することが、経営者としての実力を高めることにつながります。

「計画」「実行」「報告」という3つのステップを通じて、事業者自身が経営の視点を見直し、地域社会における役割を果たすことも可能です。今後も制度は進化を続けると考えられるため、常に最新情報を確認しながら、チャンスを最大限に生かしましょう。