経営が行き詰まったときによく耳にする「破産」と「倒産」。似たような意味で使われることが多い言葉ですが、法律上は明確な違いがあります。それぞれの意味や対象、手続きの流れを正しく理解しておくことで、万が一の際に適切な対応が可能になります。この記事では、破産と倒産の違い、手続きの流れ、選択時の注意点を分かりやすく解説します。
破産と倒産の違い
破産と倒産は混同されがちですが、法律的には異なる概念です。
| 項目 | 破産 | 倒産 | 
|---|---|---|
| 意味 | 債務を返済できない状態で、裁判所の手続きにより財産を清算すること | 債務の返済ができない状態全般を指す経済的用語 | 
| 対象 | 個人、法人 | 主に法人だが個人も含む場合がある | 
| 法的手続き | 破産手続き(破産法による) | 破産、民事再生、会社更生、特別清算など複数の方法 | 
| 結果 | 財産をすべて処分し、債務を免除される場合がある | 清算または再建のいずれか | 
| 主な目的 | 債務の免除と生活の再建 | 事業の整理または再建 | 
破産は倒産の一形態であり、倒産はより広い概念として使われます。
破産の手続きの流れ(個人の場合)
個人が破産手続きを行う場合の一般的な流れは以下の通りです。
| 手順 | 内容 | 
|---|---|
| 1. 弁護士への相談 | 手続きの可否や方法を確認 | 
| 2. 申立書類の準備 | 債務一覧や収支状況、資産明細を作成 | 
| 3. 裁判所への申立 | 管轄の地方裁判所へ申請 | 
| 4. 破産手続開始決定 | 裁判所が破産開始を決定 | 
| 5. 財産の換価・配当 | 管財人が財産を売却し債権者に配当 | 
| 6. 免責許可決定 | 一定の債務を免除 | 
| 7. 手続き終了 | 再スタート可能な状態になる | 
免責が許可されると、借金の返済義務がなくなりますが、税金や養育費など一部の債務は免除されません。
倒産の主な手続き方法(法人)
法人の倒産には複数の手続き方法があります。
| 手続き方法 | 概要 | 主な目的 | 
|---|---|---|
| 破産 | 財産を清算し会社を消滅させる | 清算 | 
| 民事再生 | 債務を減額し再建を目指す | 再建 | 
| 会社更生 | 大規模企業向けの再建手続き | 再建 | 
| 特別清算 | 会社法による清算手続き | 清算 | 
企業の規模や状況に応じて、清算型と再建型の手続きを選択します。
破産・倒産時の注意点
破産や倒産の手続きでは、以下のような点に注意が必要です。
| 注意点 | 解説 | 
|---|---|
| 財産の処分 | 破産では不動産や高額な動産が処分対象になる | 
| 保証人への影響 | 連帯保証人がいる場合、その人に債務が移る | 
| 信用情報への登録 | 一定期間、金融機関の審査に通りにくくなる | 
| 職業制限 | 破産手続き中は一部の資格や職業に就けない | 
| 再建可能性の検討 | 再建の見込みがある場合は再生手続きも検討 | 
適切な方法を選ぶためには、専門家への相談が不可欠です。
破産と倒産の選択基準
どちらの手続きを選ぶべきかは、目的や状況によって異なります。
| 状況 | 適した手続き | 
|---|---|
| 完全に返済不能で事業継続が困難 | 破産 | 
| 事業に収益性があり再建可能性がある | 民事再生や会社更生 | 
| 資産より債務が多いが解決のための交渉余地がある | 任意整理や再生 | 
状況を正確に把握し、清算型か再建型かを判断することが重要です。
まとめ
破産は倒産の一種であり、法的な清算手続きを通じて債務を整理する方法です。一方、倒産は債務返済が困難な状態全般を指し、清算や再建のためのさまざまな手続きが含まれます。どちらを選択するかは、事業の継続可能性や負債額、資産状況によって異なります。早めに専門家へ相談し、最適な方法を選ぶことが再出発への近道です。

 
  
  
  
   
       
   
 
 
   
                    
