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労災って?保険認定基準についても解説

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監修者
竹村 直浩
竹村 直浩

<経営管理のプロ・数多の組織経営>
会計事務所経験からキャリアをスタート。
約30年間にわたりデータベースマーケティング、起業のみらずBPO業務および新規事業の立案に従事。
現在は、自らが代表を務める会社の経営の傍ら、経営管理および新規事業立案等の業務委託を請け負う

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職場でのケガや病気に備えるために「労災保険」の仕組みを正しく理解しておくことは重要です。本記事では、労災保険とは何か、その対象範囲や認定基準、申請方法についてわかりやすく解説します。事業者と労働者の双方にとって知っておくべきポイントを網羅した内容です。

労災保険とは

労災保険とは、正式には「労働者災害補償保険」と呼ばれ、業務中または通勤途中の事故や疾病に対して、国が補償を行う制度です。対象は原則としてすべての労働者であり、正社員だけでなく、パートタイマーやアルバイト、派遣社員も含まれます。加入手続きは事業主が行い、保険料もすべて事業主の負担となります。

この制度の目的は、労働者が業務に従事するうえで発生するリスクに対して適切な補償を行い、労働生活の安定を図ることです。補償の対象となるのは、けがや病気、障害、死亡などで、通勤途中の事故も「通勤災害」として補償対象になります。

労災保険には以下のような給付が含まれます。

  • 療養補償給付(治療費など)
  • 休業補償給付(働けない期間の生活補償)
  • 障害補償給付(障害が残った場合の補償)
  • 遺族補償給付(労働者が亡くなった場合の遺族への補償)

これらの給付は、所定の要件を満たすことで申請することができます。給付額や期間には基準があり、国の定めた法律や通達に従って支給されます。


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労災保険の適用範囲と対象者

労災保険の適用は、業務災害および通勤災害の両方に分けられます。以下の表にその概要をまとめます。

災害の種類内容
業務災害業務中に発生したケガ、病気、事故、死亡など
通勤災害通勤途中で発生したケガや事故

「業務災害」は、明確に仕事の範囲内で起こったものに限られますが、出張中や外出先での業務なども含まれることがあります。一方「通勤災害」は、通勤経路が合理的である場合に限られ、私的な寄り道があった場合などには認められないケースもあります。

対象となる労働者には、正規社員のほか、日雇い労働者や短期契約のアルバイト、さらには外国人労働者も含まれます。原則として、労働契約の形態に関係なく、雇用関係が明確であれば適用される点が特徴です。

また、建設業など一部の業種では「一人親方」のように個人事業主でも特別加入が可能な制度も用意されています。これは事業主本人や中小企業の役員など、通常の労災保険ではカバーされない人にも補償を広げる仕組みです。


労災保険の認定基準とは

労災保険の給付を受けるには「業務起因性」と「業務遂行性」が認められる必要があります。これはつまり、その事故や疾病が業務によって引き起こされたものであり、業務の最中に発生したものであることが条件です。

具体的には以下のようなケースが認定対象になります。

  • 工場で機械に巻き込まれてけがをした
  • 現場作業中に落下物で負傷した
  • 長時間労働によりうつ病を発症した
  • 通勤中に交通事故に遭った

一方で、業務外での私的な行動中の事故や、通勤ルートを外れて寄り道中に起きた事故などは、労災の対象にならない場合があります。

認定の可否は、労働基準監督署が調査を行い、当該ケースが労災として相当かどうかを判断します。特に、精神疾患や過労死のようなケースでは、勤務実態や労働時間、業務内容など、詳細な検証が行われます。


労災保険の申請手続きと注意点

労災保険を申請するには、所定の様式を使用し、勤務先を通じて所轄の労働基準監督署へ提出する必要があります。申請の際に必要となるのは以下のような書類です。

  • 労災申請書(様式5号、6号など)
  • 医師の診断書
  • 出勤簿、タイムカードなどの労働記録
  • 事故報告書や本人の申立書

申請は原則として被災者本人が行いますが、業務上の災害であることを証明する資料は会社が保有していることが多く、事業主の協力が不可欠です。会社が非協力的な場合でも、労基署への直接申請が可能であることも覚えておきましょう。

また、申請には時効が存在します。通常、労災の発生から2年以内に申請しなければなりません。特に精神的な疾患や後遺症の場合は、発症や悪化のタイミングが重要となるため、できるだけ早く行動を起こすことが望まれます。


労災保険制度を利用する際の注意点

制度の利用に際しては、以下のポイントに注意することが重要です。

  • 被災状況をできるだけ詳細に記録すること
  • 医療機関には労災扱いでの受診を伝えること
  • 私病(業務外の原因による病気)との区別を明確にすること

さらに、制度の悪用や虚偽申請は重大な不正行為にあたり、補償が受けられないどころか、刑事罰の対象となる可能性もあります。正確な事実に基づいて手続きを行いましょう。

一方で、労働者にとって労災申請をすることに対する心理的な抵抗感があるのも事実です。会社に迷惑をかけたくないという気持ちや、今後の人間関係への影響を心配する人もいます。しかし、労災は労働者の権利であり、安心して働くための社会的な仕組みです。


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まとめ

労災保険は、労働者が安心して働くための重要な社会保障制度です。業務中や通勤時に発生した事故や病気に対し、迅速かつ適切に補償を行うことで、労働環境の安全性を支えています。

企業側は制度の正しい理解と、事故が発生した際の迅速な対応を行う義務があり、労働者も自身の権利として制度を活用する意識が求められます。制度の概要、対象、認定基準、申請方法をしっかり把握し、いざというときに備えておきましょう。