コロナ禍における資金繰り支援として、多くの中小企業が利用した「ゼロゼロ融資」。実質無利子・無担保という好条件で注目を集めましたが、返済が始まる現在、支払いが厳しいと感じている事業者も少なくありません。もしゼロゼロ融資を返済できなかったら、どうなるのでしょうか?この記事では、返済を怠った場合のリスクと、事前に取れる対策についてわかりやすく解説します。
ゼロゼロ融資とは?制度の特徴と返済の基本を再確認しよう
ゼロゼロ融資とは、新型コロナウイルス感染症対策の一環として、実質無利子・無担保で実施された制度融資です。正式には「民間金融機関による実質無利子・無担保融資」とされ、信用保証協会が保証することで企業が借りやすくなっていました。
項目 | 内容 |
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対象者 | 売上が減少した中小企業・個人事業主など |
利息 | 一定期間まで国が利子を補助(実質無利子) |
担保 | 不要(信用保証協会が保証) |
保証人 | 原則不要(ただし金融機関の判断による) |
返済期間 | 最長5年程度、元本返済据置期間あり |
返済開始は多くの企業で2023年以降に集中しており、現在は「返済が始まってからの負担」に注目が集まっています。
ゼロゼロ融資を返済しないとどうなる?延滞時に発生する主なリスクとは
ゼロゼロ融資も通常の融資と同様、返済を怠ればさまざまな法的・信用的なリスクが発生します。以下のような事態に陥る可能性があるため、早めの対処が求められます。
リスク | 解説 |
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延滞利息の発生 | 支払期限を過ぎると通常の利率に加え、遅延損害金が加算される |
信用保証協会からの代位弁済 | 借主が返済できないと、保証協会が代わりに返済を行う(保証履行) |
信用情報の悪化 | 保証履行が記録されると、金融機関からの今後の融資が難しくなる |
金融機関からの債権回収 | 分割返済中止や一括返済請求を受けるリスクがある |
法的措置 | 長期間の延滞や債務整理が必要になった場合、民事訴訟や財産差押えの可能性もある |
特に信用保証協会に保証履行されると、その記録は全国の金融機関で共有され、以後の借入審査に大きな影響を与えます。
返済が厳しいと感じたら?延滞前に取るべき具体的な対処法を解説
返済が難しくなりそうな場合は、延滞前に必ず行動を起こすことが重要です。以下のような対処法を活用することで、事態の悪化を防げる可能性があります。
方法 | 解説 |
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早期に金融機関へ相談 | 正直な状況を伝えることで、返済猶予や条件変更の提案が受けられる |
返済条件の見直し(リスケ) | 元本据置期間の延長や、返済期間の延長などにより月々の負担軽減が可能 |
再融資・借換えの検討 | 他の支援制度を活用して資金繰りを再構築する |
専門家への相談 | 中小企業診断士・税理士・商工会議所などに相談しアドバイスを受ける |
経営改善計画の策定 | 売上回復の見通しやコスト削減策などを計画に盛り込むことで金融機関の理解を得やすくなる |
特に「誠実な対応」は、金融機関や保証協会との関係を維持するうえで非常に大切です。
まとめ
ゼロゼロ融資は、コロナ禍を乗り切るための一時的な支援策であり、返済義務があることには変わりありません。返済ができない場合には、信用情報の悪化や法的リスクを伴う可能性もあるため、延滞する前の早期対応が鍵を握ります。資金繰りに不安がある場合は、放置せずに金融機関や支援機関と連携し、持続可能な返済方法を模索することが最善の道です。