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東証一部と二部の違いは?上場条件やメリットとデメリットを解説

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監修者
竹村 直浩
竹村 直浩

<経営管理のプロ・数多の組織経営>
会計事務所経験からキャリアをスタート。
約30年間にわたりデータベースマーケティング、起業のみらずBPO業務および新規事業の立案に従事。
現在は、自らが代表を務める会社の経営の傍ら、経営管理および新規事業立案等の業務委託を請け負う

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企業の株式が証券取引所に上場されると、その市場区分によって信頼性や知名度に違いが出ます。かつて東京証券取引所には「東証一部」と「東証二部」が存在し、それぞれ異なる特徴や条件がありました。2022年4月の市場再編によって区分が変更されたとはいえ、現在も企業の評価や上場戦略を考えるうえで旧区分の理解は欠かせません。本記事では、東証一部と二部の基本的な違いや上場条件、それぞれのメリットとデメリットについて解説します。

東証一部と東証二部の基本的な違い

市場の位置づけと目的の違い

東京証券取引所(東証)は、かつて企業規模や成長段階に応じて複数の市場を運営しており、東証一部は「日本を代表する企業向け」、東証二部は「成長途中の中堅企業向け」として位置づけられていました。

比較項目東証一部東証二部
対象企業大企業・成熟企業中堅・成長企業
上場基準厳しい(時価総額・株主数・流動性など)比較的緩やか(規模に応じた基準)
社会的信用度非常に高い一部に比べるとやや低い
流動性(売買活発度)高い一部に比べるとやや低い

上場条件の違い

東証一部と二部では、上場のための基準も異なっていました。以下は主な条件の比較です。

項目東証一部の基準東証二部の基準
株主数2,200人以上800人以上
流通株式数2万単位以上4,000単位以上
時価総額250億円以上20億円以上
直前2年間の利益額合計5億円以上合計1億円以上
内部管理体制内部統制報告書の提出が必要一部より簡易な報告要件

このように、一部は上場企業としての信頼性・継続性がより強く問われる市場でした。


東証一部のメリットとデメリット

項目内容
メリット社会的信用力が高まり、国内外の投資家から注目されやすくなる
資金調達がしやすくなる、IR活動が活発化する
優秀な人材の採用力が向上する
デメリット上場維持コストが高く、情報開示義務などの負担が大きい
ガバナンス要件が厳しく、体制構築が求められる

東証二部のメリットとデメリット

項目内容
メリット一部に比べて上場基準が緩やかで、比較的早期の上場が可能になる
市場の信頼性も高く、ステップアップ市場として評価される
デメリット一部よりも注目度や流動性がやや劣る
信用力や資金調達力に限界があるため、成長企業は一部への鞍替えが求められることもある

市場再編後の新区分と東証一部・二部の関係

2022年4月、東京証券取引所は以下のように市場区分を再編しました。

旧市場区分新市場区分への移行先目的
東証一部プライム市場より高いガバナンスと流動性を持つ企業向け
東証二部スタンダード市場安定成長を志向する中堅企業向け市場

この再編により、過去の「一部」「二部」という表記はなくなりましたが、企業評価の文脈では依然として旧区分が語られることがあります。


まとめ

東証一部と二部は、それぞれ異なる役割と上場基準を持ち、企業の成長ステージや上場戦略によって使い分けられてきました。現在は市場再編によりプライム・スタンダード市場へと統合されていますが、過去の市場区分を正しく理解することは、今後の上場や投資判断の参考にもなります。上場を目指す企業にとっては、自社の成長段階に合った市場選定と、必要な体制整備が重要なポイントとなるでしょう。