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コンフォートレターって?役割や注意点を解説

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監修者
竹村 直浩
竹村 直浩

<経営管理のプロ・数多の組織経営>
会計事務所経験からキャリアをスタート。
約30年間にわたりデータベースマーケティング、起業のみらずBPO業務および新規事業の立案に従事。
現在は、自らが代表を務める会社の経営の傍ら、経営管理および新規事業立案等の業務委託を請け負う

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IPOや公募増資など、企業が証券市場で資金を調達する際に欠かせない書類のひとつが「コンフォートレター」です。一般的には聞き慣れない言葉ですが、投資家の信頼を得るための重要な役割を担っています。本記事では、コンフォートレターの基本的な意味や機能、発行にあたっての注意点について、初心者にも分かりやすく解説します。

コンフォートレターとは?

基本定義と目的

コンフォートレターとは、監査法人が発行する文書で、企業の財務情報に対して一定の検証を行ったことを証明するものです。IPO(新規株式公開)や有価証券発行時に、引受証券会社や投資家の信頼を得る目的で提出されます。

項目内容
発行者主に監査法人
対象企業IPOを予定している企業、公募増資などを行う上場企業
宛先主幹事証券会社、引受団、場合によっては規制当局
目的財務情報が適切に作成されていることへの「一定の安心感」を与えること

コンフォートレターの主な内容

検証される財務情報

監査報告書とは異なり、コンフォートレターは過去の財務諸表に対する「監査意見」を出すものではありません。あくまで、提出された財務情報や開示資料に関する一定の検証内容を説明し、信頼性を補完する資料です。

検証内容例説明
期中の売上・利益状況最新の月次・四半期財務データが適切に集計・報告されているか
財務指標の再計算ROE・自己資本比率などが資料記載通りに計算されているか
注記情報の整合性有価証券届出書などに記載された情報と、企業側の元資料との不整合がないか確認
後発事象の確認提出日以降に財務情報に影響を与える重要な出来事が発生していないかをチェックする

コンフォートレターの役割

役割項目内容
投資家への信頼提供客観的な第三者である監査法人の関与により、開示情報の信頼性を高める
主幹事証券会社のリスク軽減証券会社が情報の正確性を担保するための補完的資料として機能し、訴訟リスクの低減につながる
上場審査の補完規制当局や証券取引所に対して、財務報告の適正性が確保されていることを裏付ける資料となる

コンフォートレター作成のプロセス

プロセスステップ内容
要求の確認と合意発行企業と監査法人の間で、内容や提出時期、形式について事前に合意を形成する
財務情報の確認監査法人が提出資料をもとに、指標や数値の再計算・整合性確認を行う
作成・レビューコンフォートレター案を作成し、社内および主幹事証券会社との調整を行う
提出・活用IPO時の有価証券届出書提出や、公募発行時のリスク説明資料の一部として活用されることが多い

コンフォートレターに関する注意点

注意点項目解説
監査法人との早期連携作業ボリュームが大きいため、スケジュールに余裕を持った準備が重要
対象範囲の明確化どの資料・どの期間の数値が対象かを事前に明確にし、不整合や誤解を防止する
内容の限定性あくまで一定範囲内での検証にとどまるため、投資家に対して過剰な安心感を与えないよう注意が必要
記載内容の管理内容の一部がIR資料などで外部に伝わる場合、誤解を招かないよう表現の工夫が求められる

まとめ

コンフォートレターは、企業の財務情報に一定の安心感を付加するための文書であり、IPOや公募増資において重要な役割を果たします。監査法人との連携を通じて信頼性を高めると同時に、投資家や主幹事証券会社に対して誠実かつ正確な情報開示を行うことが、企業の成長と市場からの評価につながります。上場を目指す企業にとっては、コンフォートレターの意味と活用方法を正しく理解し、準備を万全に進めることが求められます。