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スクイーズアウトって?手法や流れを解説

お役立ち情報
監修者
竹村 直浩
竹村 直浩

<経営管理のプロ・数多の組織経営>
会計事務所経験からキャリアをスタート。
約30年間にわたりデータベースマーケティング、起業のみらずBPO業務および新規事業の立案に従事。
現在は、自らが代表を務める会社の経営の傍ら、経営管理および新規事業立案等の業務委託を請け負う

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企業が上場を廃止したり、経営の意思決定を効率化したりする際に行われる「スクイーズアウト」。これは、少数株主の株式を強制的に取得し、全株式を特定の株主に集中させる手法のことです。M&Aや非公開化の場面で用いられることが多く、メリットがある一方で、少数株主とのトラブルに発展するリスクも伴います。本記事では、スクイーズアウトの基本的な意味と代表的な手法、実施の流れ、留意点を解説します。

スクイーズアウトとは?

基本定義と目的

スクイーズアウトとは、少数株主が保有する株式を強制的に取得し、企業の全株式を特定株主に集約する仕組みです。これにより、意思決定の迅速化や上場廃止の準備が可能となります。

項目内容
定義少数株主の保有株式を強制的に買い取る手続き
主な目的経営効率化、上場廃止、完全子会社化、M&Aの仕上げ
対象企業上場企業や多数の株主を抱える非上場企業
利用シーンMBO、TOB後の完全子会社化、親会社による100%支配権の確立など

スクイーズアウトの主な手法

手法名概要
株式併合株数を併合し、端数(1株未満)を現金で買い取る方式
特別支配株主の株式売渡請求発行済株式の90%以上を保有する株主が、他株主に売却を請求する方式
全部取得条項付種類株式全部取得を定めた種類株式を活用して、少数株主からの取得を実施する手法
現物出資による第三者割当増資既存株式の希薄化を目的に、少数株主の影響力を相対的に低下させる戦略的手法

それぞれの手法には法的手続きやコスト、株主への対応方法に違いがあり、目的や状況に応じた選定が必要です。


スクイーズアウトの実施の流れ

ステップ解説
1. 準備・方針決定対象株主の特定、評価方法や買収価格の設定
2. 手法の選定株式併合、売渡請求など、自社の状況に最も適した手段を検討
3. 株主への説明・公告株主総会や開示書類を通じて、透明性のある情報提供を実施
4. 法的手続きの進行株主総会の特別決議、株式の売買契約締結、登記変更などの法的処理
5. 株式取得・対価の支払い対象株主から株式を取得し、現金や株式などの対価を支払う

スクイーズアウトのメリットとデメリット

項目メリットデメリット
経営効率化少数株主の影響を排除し、意思決定を迅速化少数株主の反発や訴訟リスクが発生する可能性がある
上場廃止準備上場コスト削減、非公開化のスムーズな実行社会的な信頼性や開示義務の喪失により、透明性が低下する可能性がある
完全支配の確立100%子会社化によるガバナンスの一元化公正な株式評価と手続きが求められ、実務コストも発生する
M&Aの総仕上げ経営統合や事業再編の円滑な完了を実現手続きの煩雑さや株主との対話の不十分さが問題となるケースがある

スクイーズアウト実施時の注意点

注意点項目解説
公正な評価の担保株式の買収価格は、第三者評価や市場価格を参考にし、客観性を保つ必要がある
株主との対話特に少数株主に対しては丁寧な説明を行い、透明性と納得感を確保することが重要
開示義務と手続き遵守適時開示やIR対応を怠ると、上場企業としての信頼性を損なうリスクがある
訴訟リスクへの備え買収価格や手続きの公正性を欠くと、訴訟に発展する可能性があり、十分な法的チェックが不可欠

まとめ

スクイーズアウトは、経営の一元化やM&Aの完了、上場廃止などにおいて重要な手法です。適切な手続きを経て、公正な対価を支払うことで、企業と株主の双方にとって納得感のある形で実行することが求められます。実施にあたっては法的知識と慎重な対応が不可欠であり、専門家の助言を得ながら進めることが成功の鍵となるでしょう。