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自発的なサービス残業って違法?注意点を解説

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監修者
竹村 直浩
竹村 直浩

<経営管理のプロ・数多の組織経営>
会計事務所経験からキャリアをスタート。
約30年間にわたりデータベースマーケティング、起業のみらずBPO業務および新規事業の立案に従事。
現在は、自らが代表を務める会社の経営の傍ら、経営管理および新規事業立案等の業務委託を請け負う

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「上司から言われたわけではないけれど、仕事が終わらずに残業してしまった」「自主的にやったから残業代はいらない」——このような“自発的”なサービス残業は、職場でよく見られる光景かもしれません。しかし、たとえ本人の意思であっても、その時間が労働時間として認められる場合、企業には残業代の支払い義務が発生します。本記事では、自発的なサービス残業の違法性や企業側の注意点、対策方法について詳しく解説します。

サービス残業とは?

基本定義

サービス残業とは、本来支払われるべき残業代が支払われていない労働時間のことを指します。業務命令の有無に関わらず、労働時間とみなされる時間が発生しているにもかかわらず、その対価が支払われない場合、法律違反となります。

項目内容
定義労働時間にもかかわらず、賃金が支払われていない残業時間のこと
退社後のデスク作業、早朝のメール確認、業務資料の持ち帰り作成など
法的扱い労働基準法第24条に違反し、未払い賃金の支払い義務が発生する

自発的なサービス残業は違法になるのか?

状況違法性の有無解説
上司の明示的な指示あり違法(未払いなら)業務命令に基づく労働時間は、残業代支払い義務が発生する
指示はないが報告義務あり違法の可能性あり業務の一環とみなされる可能性があり、企業の黙認も違法性の根拠となる
完全な自主判断での残業グレーゾーン判断は難しいが、業務継続性や成果を企業が活用している場合、労働時間と認定されることがある

裁判での判断基準と企業責任

判断基準内容
使用者の指揮命令関係直接指示がなくても、業務遂行の必要性があった場合は労働時間と認定されることがある
就業規則・社内慣行暗黙の了解や評価制度が残業を促していると判断された場合、企業責任が問われる
勤怠管理体制の有無打刻制度や記録義務が不十分だと、企業に責任があると判断される可能性が高まる

サービス残業がもたらすリスク

リスク項目内容
未払い賃金の請求労働者から過去2年(または3年)分の残業代請求がなされる場合がある
労働基準監督署の是正指導通報や調査により、是正勧告や罰則対象となることがある
企業イメージの低下SNSやメディア報道による炎上・信用失墜の可能性がある
離職率の上昇働き方に不満を感じた優秀な人材の流出が進みやすくなる

自発的残業を防ぐための企業側の対策

対策項目内容
勤怠管理の徹底タイムカードやシステムで全ての出退勤・残業を記録し、事実に基づく管理を行う
業務量の適正配分一人に業務が集中しないように調整し、業務時間内で終えられる環境を整備する
上司のマネジメント教育部下に無理な残業をさせない意識づけと、適切な業務指示を行う指導を徹底する
就業規則の明文化サービス残業の禁止を明記し、会社としての姿勢を従業員に周知する

まとめ

自発的であっても、労働とみなされる行為には残業代の支払い義務が生じます。企業が「命令していないから関係ない」と考えるのは危険であり、法的リスクや従業員の不満につながります。労働時間の管理は企業の責任であり、適切な制度と文化を整えることで、トラブルを未然に防ぐことができます。今一度、自社の勤怠管理と働き方を見直してみましょう。