「入社前に想像していた仕事とまったく違った」「こんな職場環境だとは思わなかった」――こうした違和感が積み重なり、入社後まもなく離職を選ぶ若手社員が増えています。この現象は“リアリティショック”と呼ばれ、企業にとっても深刻な人材流出の要因となっています。本記事では、リアリティショックが起こる主な原因と、それを防ぐための実践的な対策をわかりやすく解説します。
リアリティショックとは?
リアリティショックとは、入社前に抱いていた職場や仕事に対するイメージと、実際の現場との間に大きなギャップを感じたときに起こる心理的ショックのことです。特に社会人経験の少ない新卒社員や第二新卒者に多く見られる現象で、ショックが強い場合には入社後数か月での早期離職につながることもあります。
リアリティショックは誰にでも起こり得るものですが、企業側の情報発信や受け入れ体制に問題があると、より深刻な結果を招くことになります。
リアリティショックによる早期退職の4つの原因
原因カテゴリ | 内容 |
---|---|
仕事内容のギャップ | 想定していた業務と実際の業務内容が大きく異なり、モチベーションを喪失する |
人間関係・社風の違和感 | 職場の雰囲気や上司・同僚との関係が思っていたよりも冷たく、心理的に孤立する |
成長実感の欠如 | 入社後すぐに単純作業ばかりを任され、「学べる環境ではない」と感じてしまう |
フィードバックの不足 | 自分の仕事に対して評価や助言がなく、成長方向が見えずに不安を抱くようになる |
いずれも、入社前に十分な情報が得られていない、あるいは入社後のサポートが不十分な場合に顕在化しやすいです。
リアリティショックによる離職のリスク
リアリティショックは本人だけでなく、企業にもさまざまな悪影響を及ぼします。
影響対象 | 内容 |
---|---|
本人 | 自信喪失、キャリアへの不安、精神的な疲弊 |
企業 | 採用・教育コストの損失、採用ブランドの低下、チームへの悪影響 |
組織文化 | 若手の離職が続くことで「育たない職場」という印象が広がり、採用難に拍車がかかる可能性がある |
採用時のミスマッチに加えて、入社後の対応を怠ることで、結果的に企業側が失うものは非常に大きくなります。
リアリティショックを防ぐための対策
1. 採用段階での情報の透明化
- 仕事内容やキャリアステップ、社内の雰囲気などを具体的に伝える
- 現場社員との座談会や職場見学を通じて、実態を肌で感じてもらう機会を設ける
2. オンボーディングの充実
- 入社後1〜3か月のサポートプログラムを設け、不安の払拭とスムーズな業務移行を支援
- メンター制度や定期面談を通じて、悩みや疑問に対応できる環境を整える
3. 初期配属と業務設計の工夫
- 入社直後から難易度の高い業務を与えるのではなく、段階的な成長を促す仕組みを用意する
- 短期的な達成感を得られるような業務を織り交ぜ、成長実感を持たせる
4. フィードバックの強化
- 上司や先輩からの具体的な評価とアドバイスをこまめに実施し、方向性を明示する
- 「できていること」「改善点」を明確に伝えることで、安心して成長できる環境をつくる
まとめ
リアリティショックによる早期離職は、企業の採用・育成活動における重大な課題です。採用段階からリアルな情報を提供し、入社後のフォロー体制を強化することで、ショックを和らげ、定着率の向上につなげることができます。これからの人材戦略では、入社後の活躍までを見据えた「採用の質」がますます問われる時代です。人と企業が“お互いに納得して選び合う”採用を実現するために、リアリティショックの対策は欠かせません。