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新事業進出補助金とは?2025年度の中小企業支援策を徹底解説

補助金
監修者
竹村 直浩
竹村 直浩

<経営管理のプロ・数多の組織経営>
会計事務所経験からキャリアをスタート。
約30年間にわたりデータベースマーケティング、起業のみらずBPO業務および新規事業の立案に従事。
現在は、自らが代表を務める会社の経営の傍ら、経営管理および新規事業立案等の業務委託を請け負う

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2025年度から新たに開始された「新事業進出補助金」は、中小企業が既存の枠を超えて新たな分野に挑戦するための支援制度です。高付加価値な事業や異分野への展開を後押しし、企業の持続的成長を図るこの制度の活用ポイントを詳しく解説します。

新事業進出補助金の制度概要と期待される役割

新事業進出補助金は、経済産業省中小企業庁が実施する令和6年度の新たな中小企業支援施策の一つです。この制度は、中小企業がこれまで手掛けていなかった分野に果敢に挑戦することを後押しする目的で創設されました。少子高齢化や消費構造の変化など、企業環境が急速に変化する中、既存事業だけでは限界があると感じる経営者も多いでしょう。本補助金はそうした企業に対し、「新規性」や「高付加価値性」がある事業への投資を支援します。

制度の特徴は、既存の延長線上ではない、まったく新しい分野への挑戦を対象にしている点にあります。そのため、事業者自身が「自社の強みを活かしながら、どのような新しい価値を生み出せるのか」を深く掘り下げ、明確な方向性を持つことが重要です。たとえば、製造業が新たにサービス業へ進出する、飲食業が地域産品の販売ビジネスを展開するなど、業態転換も含まれます。


補助対象となる中小企業とその条件

対象となるのは、中小企業基本法に基づく中小企業者および小規模事業者です。資本金や従業員数などの要件が明確に定められており、それに準じていることが必要です。また、補助を受けるには、単に申請書を提出すれば良いというわけではなく、事業計画の実現可能性や成長性を証明するための資料が求められます。

事業の新規性だけでなく、「地域社会や雇用創出に与える影響」などの観点からも審査されます。さらに、企業としての信用性も問われるため、過去の補助金利用履歴や税務上の遵守状況も確認されます。経営資源が限られている中小企業だからこそ、無理のないスケジュールと収支計画を立てる必要があります。


補助対象となる経費の具体例と注意点

補助対象となる経費には、主に設備費、外注費、広報費、人材育成費などが含まれます。たとえば、次のような内容が該当します。

経費項目内容事例
設備投資新製造ラインの機械装置、新店舗の内装工事費
外注費システム開発費、外部専門家への技術指導料
広報費広告デザイン、チラシ作成、SNSプロモーション
研修費社員の再教育、専門資格取得の講座費用

注意点としては、補助金対象外の経費(たとえば、既存業務への補強に過ぎない支出、社内人件費、税金や利息支払いなど)を含めないことが肝心です。間違えて対象外の経費を申請に含めると、交付決定が取り消されるリスクもあるため、各費目の解釈には十分注意が必要です。


申請から採択までの流れと必要な準備

申請にはGビズIDプライムアカウントが必要であり、電子申請システム(Jグランツ)を通じて行います。申請プロセスは以下の通りです。

  1. 事業のビジョンと概要を明確にする
  2. 事業計画書の作成(数値計画、リスク分析、収益モデルを含む)
  3. 見積書、会社概要、過去の財務諸表の準備
  4. 必要書類一式をオンラインで提出

審査では、事業の独自性や再現性、地域経済への貢献度などが評価されます。また、加点項目として、「女性活躍推進」「デジタル技術の導入」「脱炭素型モデル」など、国の重点政策に合致した取組みが含まれているかも重要な評価基準となります。


補助金を活かした実例紹介と成功のヒント

実際に補助金を活用した企業の中には、新しい分野で大きな成果を上げた例もあります。たとえば、地方の印刷会社がデジタル化の流れに乗り、デジタルコンテンツ制作事業へと事業転換を果たした事例や、飲食業者が食品ロスをテーマにした冷凍食品販売へと進出した事例があります。

これらに共通しているのは「自社ならではの強みを明確に活かしている」ことです。単なる思いつきの事業ではなく、具体的なターゲット市場の分析、ニーズへの対応、そして売上に結びつけるシナリオがしっかり構築されています。補助金は「スタートのための資金」に過ぎませんが、それをいかに成長の加速装置にできるかが成功のカギです。


補助金活用における留意点と今後の可能性

補助金を獲得するだけで満足してしまうのではなく、補助期間終了後も持続可能なビジネスとして確立できるように戦略を描くことが求められます。補助事業が終わった後に利益が上がらなければ意味がなく、逆に企業体力を消耗させてしまう恐れすらあります。

そのため、事業計画の中には「収益の最大化」とともに「リスク管理」「市場環境の変動への対応」も盛り込むべきです。加えて、複数年にわたる事業継続と拡大を視野に入れ、成長ロードマップを描くことが理想です。今後この制度を通じて、地域経済に新たな雇用やイノベーションが生まれることが期待されます。


まとめ

中小企業の未来を切り開くためには、既存の延長線上ではない新たなチャレンジが不可欠です。新事業進出補助金は、その一歩を踏み出すための強力な支援制度であり、単なる資金支援にとどまらず、企業の変革意欲や革新性を評価するフレームでもあります。

成長への突破口として制度を活用するためには、準備段階から明確な目的と戦略を持つことが大切です。今まさに変革を目指す経営者にとって、この補助金は次のステージへの「きっかけ」となり得るのです。